オフィシャルブログ

笹寿し通信~3~

皆さんこんにちは

有限会社笹寿しの更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~近代から戦後へ~

 

文明開化は製粉機・運送・冷蔵を整備し、粉の安定供給と衛生基準を押し上げました。戦中戦後の統制・代用食を経て、昭和後期には駅そば・立ち食いが**“早い・安い・旨い”の象徴に。並行して戸隠・出雲・わんこ**など地域様式も力強く存在感を増します。


1|製粉・挽きの革新—石臼とロール挽きの併存 ⚙️

ロール挽きは大量・均質を実現、石臼挽き低速摩擦熱による香り維持が強み。現代の名店は**“ロールで下粉を整え、石臼で香りの一番粉を引き出す”などハイブリッド運用**で最適化。️


2|配合とテクスチャ—二八・十割・外一の美学

  • 二八:小麦2割・蕎麦8割。のど越しと香りの均衡

  • 十割:小麦不使用。産地の香りが直撃、加水・打ちの技術が要求される。

  • 外一:粉10に対し水1(=外から1)。江戸の粋な言い回し。
    山芋・ふのりなど伝統的つなぎも地域で継承。


3|地域様式の花開き—“風土の蕎麦学”

  • 戸隠(信州):ぼっち盛り。清冽な水系と高標高が香りを支える。⛰️

  • 出雲:割子そば。器を重ね、つゆを掛け継ぐ儀式性。

  • わんこ(岩手)食の遊戯性が観光資源に。

  • 田舎・更科・挽きぐるみ:挽き分けの表現が地域語彙に。


4|立ち食い文化—インフラと舌の再定義

駅そばは蒸気機関の時代からの相棒回転率・保温・出汁の再現性が業務オペレーションを鍛え、“蕎麦=早くてうまい”という国民的イメージを形成。天ぷらの油の香りと濃いめのつゆが寒風のプラットフォームで幸福を約束しました。


5|近代店づくりの示唆

  • ミル設置のストーリーテリング:店内石臼で“香りの可視化”。

  • 配合の多層展開:二八・十割・季節粉で**“選ぶ楽しみ”**を演出。

  • 地域文脈の輸入:割子・ぼっち盛り・蕎麦湯の濃度調整で儀式性を高める。


まとめ

近代は機械化×地域性の二極が共存し、立ち食いが新たな市場を切り開きました。第4回は、現代〜未来の蕎麦屋経営:在来種の復権、健康科学、デジタル販促、インバウンド、サステナビリティまで“これからの勝ち筋”を描きます。