皆さんこんにちは
有限会社笹寿しの更新担当の中西です
さて今回は
~蕎麦屋と季節のあしらい🌾~
蕎麦屋の魅力は、“そば”だけではありません。
器、あしらい、香り――その一つひとつに、季節を感じる細やかな工夫があります🍂
・柚子:爽やかな香りで、温そばのアクセントに。柚子皮をひとひら浮かべるだけで、つゆの香りが一気に華やぎます。
・長ねぎ:寒さで甘みが増す時期。焼きねぎを添えると香ばしさが立ちます。
・大根おろし:辛味が増す季節。冷たい蕎麦に添えると、のどごしと清涼感が絶妙。
・きのこ類(しめじ・なめこ・えのき):出汁を吸ったきのこは、秋の名脇役。温そばに旨みを重ねてくれます。
旬の食材を使うことは、蕎麦屋の“季節の挨拶”でもあります🌿
「今、この時期にしか食べられない」――それが、お客様の心を惹きつける最大の魅力です。
蕎麦は「五感で食べる料理」。
手触りのよい陶器、湯気の立つ漆器、温度を保つ竹のざる――すべてが計算されています。
十一月は、温もりを感じる器を意識して選びます。
土肌の温かみを持つ信楽焼や、赤みのある備前焼。
そこに盛られた蕎麦は、まるで秋の夕暮れのような趣を帯びます。
店内の照明も少し落とし気味にして、湯気が立ちのぼる様子を際立たせます。
香り・光・音、そのすべてが一杯の蕎麦を引き立てる要素なのです🍵
十一月は、そば前を楽しむ常連さんも増えます。
燗酒に合うのは、だし巻き玉子・板わさ・鴨ロース。
そして締めには、香り高い新そばを一枚。
お酒の余韻と蕎麦の香りが重なり合い、静かな夜のひとときを彩ります。
十一月は、蕎麦屋にとって“静かな華やぎ”の月。
派手さではなく、穏やかな温もりでお客様を迎える季節です。
旬の香りと器のぬくもり、そしておもてなしの心。
その三つが揃ったとき、蕎麦は芸術になる――そう信じています🍁
皆さんこんにちは
有限会社笹寿しの更新担当の中西です
さて今回は
~晩秋の味わい🍁~
日が短くなり、冷え込みが増す十一月。
街を歩く人々の装いも、すっかり冬支度。
そんな中で恋しくなるのが、湯気の立ち上る温かい蕎麦です🍜
「温かい蕎麦」と一言で言っても、実は作り方次第で味の印象がまったく変わります。
当店では、“茹で上げのタイミング”と“つゆの温度”を最も大切にしています。
熱すぎるつゆに長く蕎麦を浸すと、香りが飛び、コシが失われる。
かといって温度が足りないと、体に染みる“あの幸福感”が薄れてしまう。
一秒の違いが、味の決め手になるのです。
つゆは、鰹節・宗田節・昆布を合わせた三層仕立て。
甘みを控え、旨みを引き立てることで、蕎麦の香りを邪魔しません。
この絶妙なバランスが、“ほっとする一杯”を生み出します🍶
鴨南蛮そば
鴨の脂が染み出したつゆの香ばしさ。長ねぎの甘みがとろけ、旨みが重なる一杯。
冬支度の始まりにぴったりの贅沢な味わいです。
舞茸天そば
秋の森の香りをそのまま閉じ込めた舞茸天。カラリと揚げて、熱々のつゆにくぐらせる瞬間の香りが格別🍄
とろろそば(温)
疲れが出やすいこの時期に、滋養たっぷりの一杯。
とろろの粘りが体を温め、免疫力アップにもつながります。
仕事帰り、冷えた手で暖簾をくぐると、湯気がふわっと迎えてくれる。
この瞬間こそ、蕎麦屋の原点だと思います。
蕎麦をすする音、つゆの香り、湯気で曇る眼鏡――それらすべてが、冬の情緒そのものです。
十一月の夜は長い。
そんな日にこそ、温かい一杯が心をほどきます。
「今日もおつかれさま」と、自分をいたわる時間を、ぜひ蕎麦屋で過ごしてください🌙
皆さんこんにちは
有限会社笹寿しの更新担当の中西です
さて今回は
~新そばの香りが広がる季節~
十一月――蕎麦屋にとって、一年で最も特別な月がやってきます
秋の実りが終わりを迎える頃、新そばの香りが立ち上るこの季節は、まさに“蕎麦の旬”。
厨房に立つ私たちも、この香りに包まれるたびに、自然の恵みと農家さんの努力に心から感謝する瞬間です。
「新そば」とは、その年に収穫されたそばの実で打たれた蕎麦のこと。
収穫後すぐに製粉・手打ちすることで、蕎麦本来の香りと甘みが最大限に引き出されます。
一般的に、秋に収穫された“秋新(あきしん)”がもっとも風味が高く、十一月はちょうどその真っ盛り。
湯気の向こうに立ち上る緑がかった香り――
一口すすると、舌の上で広がる甘みとほのかな渋み。
この瞬間こそ、蕎麦好きの皆様が一年間待ち望んでいた季節です✨
新そばは、産地によって風味がまったく異なります。
たとえば北海道幌加内のそばは香りが高く、さらりとした喉ごし。
長野・戸隠はコシが強く、香ばしさが際立ちます。
福井の在来種は甘みが濃く、つゆとの相性が抜群。
当店では、その年ごとに最も良い状態のそば粉を厳選し、産地ごとに“挽き分け”を行っています。
石臼で丁寧に挽くことで、熱を持たず、香りを損なわない。
この手間こそが、蕎麦屋の誇りです
この時期は、温かい“かけそば”も恋しくなる季節。
新そばの香りを活かすため、だしは控えめに、節と醤油の香りをやさしく重ねています。
また、旬の舞茸天やさつまいも天と合わせると、秋の香りがより深まります
食後は“そば湯”で締めるのがおすすめ。
香り高いそば湯には、ポリフェノールやルチンなどの栄養が溶け込んでおり、体の芯から温まります。
十一月は、蕎麦屋が一年で最も忙しく、最も幸せな季節。
湯気の向こうで立ち上る新そばの香りを、どうぞ五感でお楽しみください
「今年のそば、やっぱりうまいね」――その一言のために、今日も心を込めて打っています。